令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
バイト先、すなわち駅の近くにある小さな洋食屋に着き、裏口から入って白と黒の制服に着替え、店に入るといつもと雰囲気が違っていた。

一瞬何だろうと思ったが、それはクリスマスに備えて店のあちこちを飾ったからだとすぐに気付いた。そうか、もうすぐクリスマスなんだなあ。

昼間の内に、店長と杏里さんで飾り付けをしたのだろう。この店には、店長の他には専属の杏里さんと、夜間バイトの俺の3人しかいない。


「お疲れ様でーす」


同じ制服姿の杏里さんに挨拶した。


「ああ、松本君、ご苦労様」


杏里さんは、職場の先輩としての素っ気ない返事をしてから、店長が厨房に引っ込んでいるのを確認し、俺の側へ寄って来た。

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