令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
“ハゲ”というのは店長の事だ。
店長はたしかまだ40前だが、気の毒な事に既に頭がだいぶ薄くなって来ている。当然本人も気にしてるわけで、それなのに平然と“ハゲ”と杏里さんは言ってしまう。
実は杏里さんのそういう配慮がないというか、思いやりがないというか常識がないというか、そういうところが俺は嫌いだ。
もしかすると女には分からないのかもしれないが、男はたぶんみんな禿げる事に恐怖を抱いている。店長の事はあまり好きではない俺だが、それでも同じ男として、まだ若いのに“頭が来てる”店長は気の毒だと思う。
「ハゲはなんであたしを早く帰したか分かる?」
それはたぶん分かっている。ヤキモチ妬きの店長が、早く俺と杏里さんを引き離したくて、だと思う。だが、それは言わずに、
「さあ……」
と答えた。というのは、杏里さんは店長が自分に気がある事に気付いていないのだ。俺から見たら、めちゃくちゃ分かりやすいにも拘わらず。
店長はたしかまだ40前だが、気の毒な事に既に頭がだいぶ薄くなって来ている。当然本人も気にしてるわけで、それなのに平然と“ハゲ”と杏里さんは言ってしまう。
実は杏里さんのそういう配慮がないというか、思いやりがないというか常識がないというか、そういうところが俺は嫌いだ。
もしかすると女には分からないのかもしれないが、男はたぶんみんな禿げる事に恐怖を抱いている。店長の事はあまり好きではない俺だが、それでも同じ男として、まだ若いのに“頭が来てる”店長は気の毒だと思う。
「ハゲはなんであたしを早く帰したか分かる?」
それはたぶん分かっている。ヤキモチ妬きの店長が、早く俺と杏里さんを引き離したくて、だと思う。だが、それは言わずに、
「さあ……」
と答えた。というのは、杏里さんは店長が自分に気がある事に気付いていないのだ。俺から見たら、めちゃくちゃ分かりやすいにも拘わらず。