令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
私はつい絵理を怒鳴ってしまった。松本さんの悪口を聞きたくなくて。というか、絵理が松本さんを悪く言うのが許せなくて。


絵理は、目を丸くしてキョトンとしている。今まで、私はあまり絵理に逆らった事がないから、びっくりしたんだと思う。

あまりと言うより、二度目かな。一度目は昨日で、やはり松本さんの件でだったと思う。


「松本さんを悪く言うのはやめて」

「でもさ……」

「でも、じゃない! 松本さんの事、何も知らないくせに」

「栞……?」

「松本さんは学費のために一生懸命働いてるのに、貧乏だなんて、どうしてそんな酷い事が言えるの?」

「それはちょっと、あたしも言い過ぎたよ。でもね……」

「やめて。これ以上、松本さんの悪口は聞きたくない」

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