令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
絵理が私の事を思って言ってるのは分かっていた。頭では分かっているのに、どうしても我慢出来なかった。

松本さんの事になると、私は普通ではいられないのかも……


「あ、そう? だったらもう何も言わない。あんたの好きにすれば?」



そう言って絵理は私に背中を向けようとしたけど、すかさず私は絵理の腕を持った。このまま絵理と仲違いをしたくないから。


「待って。私も言い過ぎちゃった。ごめんね?」


すると絵理は私を振り向き、ハアーと溜め息を漏らした。


「栞、あたしはあんたを心配してるのよ。わかる?」

「うん、それはよく分かってるつもり……」

「それでも松本悠馬と付き合うの?」

「うん……」

「あの人のどこがいいの?」

「それは……」


どこだろう。ん……やっぱりこれかな。


「パパに似てるところ、だと思う」


パパも時々怖い顔するし、実際、お仕事なんかではとても厳しい人だと聞いている。でも、少なくても私には思いやりがあって優しい人だ。

松本さんも、そういう人じゃないかと、私は思ってるんだけど……


「そうなんだ……。もう止めても無駄みたいだから諦めるけど、あんたが酷い目に会わないか心配だわ……」

< 153 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop