令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
待ち合わせ場所の中華レストランに私が着いたのは、お約束した時刻ちょうどだった。早めに来たかったのに、俊樹さんのバカ……


そのレストランの中は広くて明るく、中華料理特有の、美味しそうな匂いがほのかに漂っていた。松本さんがこういうお店をご存知とは、ちょっと意外、なんて言ったら失礼かしら。


すぐに店員さんが出迎えてくれたので、松本さんと待ち合わせている事を告げたら、奥のつい立てで仕切られたテーブル席に案内してくれた。

松本さんは、既に着いているらしい。私が先に来て、松本さんをお待ちしたかったのにな……


「こちらでございます」

「ありがとう……!?」


“ございます"と続くはずの言葉を、私は飲み込んでしまった。だって、松本さんはお一人じゃないんですもの!

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