令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
悠馬さんは、確かに今“吉田泰造”つまり私のお祖父様のお名前を言ったと思う。


「あの、悠馬さんは私の祖父をご存知なんですか?」

「え、あ……知ってるよ。吉田グループの会長で、経済界の大物だからね。誰でも知ってると思うよ?」

「ああ、そうなんですか……」


お祖父様がすごい人だという事は知っていたけど、それほど有名とは知らなかった。


「由紀も知ってるよな?」


悠馬さんは、なぜか低い声で由紀ちゃんにそう聞いた。


「え? ん……知らなかった。もうすぐ社会人なのに、勉強しないとダメだね?」


由紀ちゃんはそう言って、可愛らしく舌をペロっと出した。思わず私は微笑んだのだけど、


「そうか……」


なぜか悠馬さんは沈んだような声で呟くと、何かを考え込むような仕種をした。

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