令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
由紀ちゃんが悠馬さんの腕を掴み、グイッと引っ張った。


「何だよ?」

「栞さんに謝って!」

「俺が? なんで?」

「“なんで?”じゃないでしょ? 栞さんに酷い事言って、泣かせちゃって……。お兄ちゃん、サイテー!」


そう由紀ちゃんが言ってくれて、私は自分が泣いている事に気付いた。


「由紀ちゃん、いいの。私が悪かったんだから……」

「それは違うよ。栞さんは悪くない。今のは意固地になってるお兄ちゃんが悪い」

「ううん、私が……」

「ごめん」


“私が素直じゃなかったから”と言おうとしたら、なんと悠馬さんが「ごめん」と言ってくれた。それが私にはとても意外に思え、悠馬さんを茫然と見上げた。

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