令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

「由紀が言う通り、俺が悪かった。すまない。えっと……」


悠馬さんは、無理して言ってるように見えなくもないけど、私に謝ってくれて、ズボンのポケットに手を入れて何かを取り出した。それはグレーの男物のハンカチで、


「ほら、これで涙を拭けよ」


と言って私に差し出してくれた。


「あ、大丈夫です。自分のハンカチがありますから……」


そう言って私がバッグを持ち上げたら……


「男の申し出には、素直に受けるもんだぜ？」


と言われた。それはきっと、さっきの食事代の件を含めての事なのだと思う。

なるほど……。女が素直じゃないと、男の人って怒っちゃうのね。覚えておかなきゃだわ。


「はい。では、お借りします」


私は悠馬さんからハンカチを受け取り、それをそっと目に当てた。涙はもう止まっていたのだけど。