令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

「どうした？ 赤い顔して……」


悠馬さんが、私の顔を覗き込むようにして言った。


「恥ずかしいんです。私、考えなしだから……」

「ハハ、考えなしね……。そう言えば、ずっと気になってたんだが……」


悠馬さんは一瞬笑った後、今度は一転して真面目な顔になった。


「おまえさ、あの事は怒ってないのか？」


“おまえ”って言われた……。何度めかだけど。そういう呼ばれ方って初めてだけど、不思議とイヤじゃないかも。相手が悠馬さんだからかな。

じゃなくて……“あの事”って何だろう。


「あの事って？」

「ほら、あれだよ。最初に俺たちが出会った合コンの帰りに……」

「はい？」


何だろう。悠馬さんの歯切れが悪い。


「ほら、俺がおまえにしちゃったろ？」

悠馬さんが私にした事？
えっと、何だっけな……

きゃーっ、お、思い出した！？