令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「俺も降りるから」


俺はそう言うと、「でも……」とか言ってグズグズする栞の手を引き、急いで電車を降りた。


俺は確かに「送ってく」と言ったはずだが、なぜ栞はモタモタしたのだろう。ひょっとして……

「俺に家を教えるのが嫌なのか? だったら行かないが」

と言ったが、


「そ、そんな事はありません。断じてないです」


栞は全力で否定した。その言い方が可愛い、っていうか可笑しくて、つい俺は笑っちまった。


あ。もしかすると栞って男に送られた事がないとか?

ていうか、男とデートした事がなかったりしてな。

< 215 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop