令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
いやいや、いくら何でもそれはないだろう。もうすぐ二十歳になるってのに、しかも結構可愛い顔した女が、男と付き合った事がないなんてよ……

だが待てよ。栞ぐらいウブなら、それは有り得るかもだなあ。
そんなウブな女に、俺は会ったその日にキスしちまったわけだ。もしかすると、栞のファーストキスだったかも!


「あの、こっちです」


栞が俺のコートの袖を引っ張っていた。
どうやら俺は、考え事しながら違う方向に歩いていたらしい。


「ああ、ごめん。そっちね?」

「はい……」


そうかあ。俺、栞に悪い事しちまったなあ……

って、何言ってんだよ、俺は……
栞は憎い吉田泰造の孫で、ヤツに復讐するために栞に近付いてるのを忘れんじゃねえぞ。

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