令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
栞の家は駅のまん前かな、なんて勝手に想像していたが、意外と駅から離れていて、10分程歩くと、大きな家がポツポツと建ち並ぶ一角に来た。いわゆる“閑静な住宅街”というやつか。


栞が「ここです」と言って立ち止まったのは、『吉田』の表札が掛かった門扉の前だった。それは二階建ての家で、辺りの他の家と同程度の大きさで、豪邸と言う程ではないが、かなり大きい家だった。


「でかい家だな」

「そうでもないと思いますけど……」

「いや、でかい」


少なくても俺の家と比べたら遥かにでかい。ていうか、比較にもなんねえ。クソッ!


「あの、お茶などいかがですか?」


思わず俺は「えっ?」と聞き返していた。栞からお茶を飲んでけと言われたような気がするが、俺の聞き違いか?

栞の顔をじっと見ると、俺の返事を待ってるっぽいから、聞き違いではないらしい。

さてと、どうすっかなあ。

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