令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「そ、それは言わないでください。忘れてください!」


栞はやっと分かったらしい。俺がしたキスの事だということに。

それにしてもちょっと、いや、かなり意外な反応だなあ……


「おまえ、怒ってないの? あの時は怒ってたよな?」


それが俺には意外だった。てっきり栞は怒ってると思ったが、それよりも恥ずかしがってるみたいに見える。というか、実際にそうなんだろう。


「知りません! もう忘れましたから」


そうか、なるほど。栞は一方的に俺にキスされたとは思ってないわけだ。そう言えばあの時、俺はゆっくりと栞の唇を奪ったもんな。避けようと思えば避けられたものを、栞は敢えてそうしなかったわけか。


それはつまり、栞も初めから俺に気があったって事か……

ん? “も"じゃねえだろう。“は”だろ?

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