令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
つまり、俺と栞は違う大学に通っていて、しかもその後俺は洋食屋でバイトをしている。だから栞と会えるのは、洋食屋の定休日の夜と、休日の昼間って事になるわけだが、中途半端だよなあ。

ん……それも困ったもんだな。と言っても俺は栞にもっと会いたいって事じゃないんだ。要するに、栞を心身共に俺にメロメロにさせる計画が、なかなか進まないって事なんだ。

うん、ただそれだけの事さ……


「何をブツブツ言ってるの?」


いけねえ、口に出ちまったか?


「いっその事、バイト辞めちゃえば? あるいは土日は休ませてもらうとか?」

「え? いや、それは……」


そう出来ればそれに越した事はないが、そういうわけには行かないしなあ。


「わたしね、今度デスクに昇格するのよ」

「デスク?」

「そう。書籍編集部のデスク。普通の会社で言えば次長さんね。つまり課長と部長の間」

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