令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「松本、あの子はおまえの知り合いか?」


水を取りに戻った俺に店長がそう言った。
チッ。よく見てやがるなあ。


「ええ、まあ……」


俺はそれだけ言い、水とメニューを持って栞の所へ行った。長話とかしたら、さぞや店長は怒るだろうなあ。気を付けねえと。


という事で、俺はテキパキと栞からオーダーを受け取り、もちろん長話もせず、それを店長に伝えたのだが……


「おまえの彼女か?」


店長は栞と俺の関係がよほど気になるらしい。


「まあ、そんなところです」

「何だよ……。彼女がいるならいるって、何で言わなかったんだ? 水臭いなあ」


“水臭い”って言われてもなあ。俺と店長はそんな仲じゃねえし。

と言うわけには行かないから、

「まだ付き合い始めたばかりなんですよ」

と、俺は無難な返事をした。


「じゃあ、杏ちゃんも知らないのか?」

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