令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「デザートを付けてやったらどうだ?」

「え? いいんですか?」

「ああ。おまえの給料から引いとく」

「ゲッ」

「冗談だよ。適当な物を持ってってやれよ」

「はい、じゃあ……」


へえー。ケチな店長にしては珍しい事もあるもんだなあ。


というわけで、俺はトレイにバニラアイスを乗せて栞の所へ行った。


「ご馳走さまでした。とても美味しかったです」

「そう?」


栞はニコニコしながらそう言った。綺麗に完食してるから本当に美味かったのだろう。

俺は栞に店長一押しのビーフストロガノフを勧めたのだが、それに限らず店長の料理の腕は大したものだ。見かけに依らないのだが。


「はい、これはサービスな?」


そう言って俺が栞の前にバニラアイスを置いたら、栞は目を丸くして驚いた。


「え? そんな、とんでもないです」

「いいから、いいから」

「はい、すみません……」


うん、いい子だ。昨夜と違って今夜の栞は素直だった。


栞が食べ終えた食器を俺が片していたら、


「あの、悠馬さん?」


栞が俺に声を掛けてきた。

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