令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「はあ?」


う、やはり無理か……


「長話はするなよ?」

「え? いいんですか?」

「ああ。客が来るから早く行け」

「ありがとうございます」


へえー、意外だったなあ。デザートといい、今夜の店長はやけに機嫌がいい。何でだろう。


俺は早速栞の所へ行き、「お待たせ」と言いながら向かいの席に座った。


「で、俺に相談って何?」

「あの、お仕事は大丈夫なんですか?」

「大丈夫。お客さんははけたし、店長の許可をもらったから」


俺がそう言うと、栞は店長に向かって品のいいお辞儀をした。首を回して店長を見たら、店長は栞に会釈を返し、微かに笑顔になっていた。

やはり今日の店長はどこか変だ。ひょっとして、栞が気に入ったとか?


栞に視線を戻すと、彼女は緊張した様子で、「あの……」と口ごもった。こっちまで緊張しながら栞が話すのを待っていたら、


「私……働こうと思うんです」

と栞は言った。

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