令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
思いがけない栞の言葉に、俺は唖然としてしまった。

栞がココで……働く?
いやいや、それは有り得ないだろう。なぜかと言うと……


「私もここで働けば休みは一緒だし、毎日がデートみたいなものだと思うんです」


確かにそうなんだけど、もし仮にそうなったとしたら……


「悠馬さん?」

「うーん……」


杏里さんに栞の事がばれるわけで、それは仕方ないとしても、栞に杏里さんとの事がばれるのは非常にまずいわけで、杏里さんをうまく口止めしたとしても、栞と杏里さんがココで会う事は当然あるわけで、栞に隠し通せるかどうか、うーん、困るなあ。


「賛成してくれないんですか?」

「え? いや、ん…………」


賛成するわけには行かないが、反対するとしてもどう言えばいいのか……って、


「あ、そうか」


バカだなあ、俺も……。栞がココで働くなんて、はなから有り得ないんだから、賛成も反対もないし、仮の事なんて考える必要はないんだ。


「それは無理だな」


栞には悪いが、キッパリと俺はそう言った。

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