令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「店長に聞いてみるから、泣くな。1パーセントの可能性もないと思うけど、決めるのは俺じゃないから、ダメ元で聞いて来るよ」


気付けば俺はそう言っていた。とにかく栞を泣き止ませたかったから。


「ちょっと待ってて」と言って立ち上がると、栞はすがるような目で俺を見上げた。そんな顔されても、無理なものは無理なんだよなあ……

俺はすぐに店長の所へ向かって行った。聞くだけ野暮だが、栞を納得させるにはそれしかないもんな。


「あの、店長……」

「話は終わったのか?」

「いいえ、まだです。彼女が変な事を言い出したもので……」

「変な事?」

「実は彼女、金持ちのお嬢様なんですが……」

「ああ、そんな感じだな。可愛いし、おまえにはもったいない子だ」


チッ。やっぱり店長のやつ、栞を気に入ったな?

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