令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

「悠馬さん、電車がなくなっちゃうよ？」

「そうだな。じゃあ、もう一回だけ……」


そう言うと、悠馬さんは私の顎に指を掛けた。私は素直に顔を上げて目を閉じ、お休みのキスを受け入れた。

キスって、どうしてこんなにも気持ちいいのかしら……


「ああ、このままおまえを、どこかにさらいてえよ」

「私も、ずっとあなたと一緒にいたい……」


互いに叶わない事を言い、ため息をついた。


「じゃ、明日な？ 寝坊するなよ？」

「あなたこそ、今夜は夜更かししないでよ？」

「わかってる。じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」


私は悠馬さんの後ろ姿を見送りながら、ハアとまたため息をついた。


こんな風に、毎晩悠馬さんは私を家まで送ってくれて、おやすみのキスをして帰って行く。

この１０日ばかりで、私達はすっかり恋人同士になってしまった。それは"毎日がデート計画"の賜物なのだけど、こんなにも早く、そして想いが深くなるなんて思ってもみなかった。