令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「そうしてくれる? 悪いわね? 助かるわ……」

「ううん。じゃあ、私は悠馬さんに電話するから」


そう言って私が立ち上がりかけたら、

「ちょっと待って」とママに呼び止められた。


「はい?」

「あなたさっき、これの事で何か言いかけたわよね?」


ママは、テーブルの上のハワイのパンフを指差していた。


「あ、うん……」


今は早く悠馬さんに電話をしたいけど、ハワイ行きについて、私が思い付いた事をママに話すのは今かなと思った。後にすると手遅れになるかもしれないから。

という事で、私は浮かせた腰をソファーに降ろした。


「今年もハワイに行くの?」

「そのつもりだけど、何か問題あるの?」

「問題ってほどではないんだけど、えっと、今年は違う所でもいいのかなって……」

「ああ、そういう事? たしかに3年連続だと飽きちゃうかしらね?」

「う、うん……」


本当はそうじゃないんだけど。

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