令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
私がお祖父様のお屋敷に来たのは、たしか新年のご挨拶の時以来だからほぼ一年ぶり。と言っても、お祖父様は時々家に見えるから、お祖父様に会うのはさほど久しぶりではないのだけど。


お祖父様のお屋敷はお庭がすごく広く、建物も大きくて立派だ。敷地面積で比較すると、私の家の軽く4倍はあると思う。


お屋敷には使用人が大勢いて、その一人で家政婦のタエさんが私達を迎えてくれた。


「栞お嬢様、お久しぶりでございます。すっかり大人っぽくおなりですね?」

「そう?」

「はーい、それはもう。お嬢様も今や大学生ですもんね……」

「タエさんはお変わりない?」

「はい、おかげさまで……」

「そう? それは良かったわ」

「ところでお嬢様。もしやお体の具合が良くないのでは?」

「え? そんな事はないけど、どうして?」

「それなら良いのですが、なんだかお元気がないように思いまして……」


やっぱり顔に出てるのね……

私はこれからここで起こる事を思うと、不安で堪らなかった。出来る事なら逃げ出したいくらいに。

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