令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「甘い、ですか?」

「甘いわ。そんなんじゃ大して痛手じゃないでしょ? 単なる失恋だもの」

「ああ、確かに……」


言われてみれば、確かにそうかもしれないな。


「例えばさ、薬(ヤク)漬けにして風俗に売り飛ばすとか?」

「えっ? それはちょっと……」

「出来ない?」

「はい。さすがにそこまでは……」

「そうかあ。じゃあさ、どこかの男どもにヤラせて、妊娠させるとかは?」

「いやあ、それもちょっと……」


杏里さんって、怖い人だなあ。仮にも同じ女なのに、よくそういう事を思い付くよなあ。


「何よ、それぐらいの事しなくちゃ、復讐にならないんじゃないの?」

「それはそうかもしれませんが……」

「あなた、本当に復讐する気あるの?」

「わ、分かりました。考えてみます」


俺は仕方なくそう答えていた。と言っても、栞を他の男にどうこう、なんて事は全く考えられない。想像しただけで吐き気がするほど嫌だ。しかし……


もうひとつは、考えていいかもしれないと思った。

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