令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
おっと、のんびりしてると本当に終電が行っちまう。


「じゃ、明日な? 寝坊するなよ?」


そう。実は明日は土曜で、栞とデートをする事になっている。その時、状況次第ではあるが、俺は栞をホテルに連れ込み、いよいよ栞のバージンを奪うつもりだ。


「あなたこそ、今夜は夜更かししないでよ?」

「わかってる。じゃ、おやすみ」


いよいよ明日か……

栞を抱けるかと思うと嬉しくて堪らない。だが、その反面、それはもっと先に延ばしたい気持ちも俺の中にはある。なぜなら……

進むという事は、当然ながらゴールに近付く事になる。そのゴールとは、栞との別れだ。別れの瞬間は、なるべく先延ばししたい。


なんて、俺は何を考えてるんだ?
吉田泰造への恨みを忘れたか?


俺は12月下旬のクソ寒い夜道を、複雑な思いを胸に一人歩くのだった。

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