令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「松本君、その事故というのは……」
予期せぬ方向から声が上がった。それは、栞の父親だった。父親は、深刻そうな顔で俺を見ていた。
「あなた、悲しい過去の事には触れない方が……」
すぐに母親が口を挟んだが、父親は俺に何を言おうとしたのだろうか。あるいは、俺から何を聞き出そうとしたのだろう……
あ、そうか。まだ若いとは言え、会長の一人息子であるこの男が、7年前に既に会社の経営にタッチしていたと考えても不思議はないな。
そこまでではないとしても、当時世間では明らかにされなかった、おやじさんが自殺する前、吉田グループに融資を頼み込むべく、当時も会長だった吉田泰造と面談し、あっさり拒まれたという事実を、身内であるこの男が知っていても不思議はない。
これは大きな誤算だ。俺は栞の父親までをも、敵に回したかもしれない。
予期せぬ方向から声が上がった。それは、栞の父親だった。父親は、深刻そうな顔で俺を見ていた。
「あなた、悲しい過去の事には触れない方が……」
すぐに母親が口を挟んだが、父親は俺に何を言おうとしたのだろうか。あるいは、俺から何を聞き出そうとしたのだろう……
あ、そうか。まだ若いとは言え、会長の一人息子であるこの男が、7年前に既に会社の経営にタッチしていたと考えても不思議はないな。
そこまでではないとしても、当時世間では明らかにされなかった、おやじさんが自殺する前、吉田グループに融資を頼み込むべく、当時も会長だった吉田泰造と面談し、あっさり拒まれたという事実を、身内であるこの男が知っていても不思議はない。
これは大きな誤算だ。俺は栞の父親までをも、敵に回したかもしれない。