令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

後でこっそり悠馬さんから聞いたのだけど、店長さんのお顔が腫れているのは、今日の昼間、あるお客様といざこざがあり、そのお客様からぶたれたかららしい。

もっとも、店長さんもそのお客様をぶったそうなので、いわゆる喧嘩という事らしい。お客様と喧嘩するなんて尋常ではないと思うのだけど、その原因は悠馬さんも知らないとの事。悠馬さんも、杏里さんから少し話を聞いただけだそうだから。


久々のお仕事という事もあり、体は正直なところ疲れてしまったけど、終わりの時刻が近づくにつれ、気持ちの方は逆に元気になっていった。だって、お仕事が終われば悠馬さんと二人きりになれるから。


今までもそうだけど、お仕事が終わり、悠馬さんと一緒に帰るひと時が私の一番の楽しみだ。ほんの僅かな時間だけれども。



やっとお仕事が終わった。

私は、着替えると店長さんにご挨拶をし、待ってくれていた悠馬さんと手をつなぎ、つい頬を緩ませながらお店を出た、その直後……