令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
絵理の言葉にその視線をたどると、グレーのベンツがゆっくりとこちらに向かって近付いて来るところだった。そのハンドルを握る人は、もちろん噂をしていた俊樹さんその人だ。

俊樹さんはマイカーで学校に通っていて、時々その帰りに私の学校へ来てくれる。そして私を乗せて家まで送ってくれる。


真っ直ぐ送ってくれる日もあるけど、大抵は途中で寄り道をする。また、家の吉田家と俊樹さんの早川家は、昔から家族ぐるみでお付き合いをしている事もあり、俊樹さんが私の家に寄って行く事もあるし、逆に私が俊樹さんの家にお呼ばれする事もある。


ちなみに俊樹さんにもご兄弟がなく、だから私を妹のように思ってくれているのだと思う。


俊樹さんも私に気付いてくれたみたいで、車を道路の端に停めると、ゆったりとした動作で車から降りてきた。

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