令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
コンコン

パパの書斎の扉をノックしたけど、中から返事がない。ママはここに居るって言ってたけど、いないのかなあ。

静かに扉を開き、中を覗いたら、パパはそこに居て携帯で誰かと話してる最中だった。

そして、パパは私と目が合うと、


「じゃあ、よろしくお願いします」


と言って通話を終わらせると、私の方に近付いてきた。


「お電話の邪魔しちゃってごめんなさい」

「い、いや、いいんだ。それよりも、出掛けるんだって?」

「あ、はい」

「携帯を忘れずにな?」

「はい。しっかりバッグに入ってます」


私はそう言って、手提げバッグをポンポンと手で叩いた。


「そっか。それにしても栞、ちょっとめかし過ぎなんじゃないか?」

「え? お化粧が濃いですか? やだ、どうしよう……」

「いや、そんな事ないよ。大丈夫だ。ただ、栞があまりに可愛いから、パパはちょっと心配になっただけさ」

「そ、そんな……。もう、パパったら……」

「あはは。でもまじめな話、気を付けるんだぞ?」

「はい。じゃ、行ってきます」


ママが言った通りで、パパに引き止められたりしなかったので私はホッとした。それにしてもパパったら、“可愛い”だなんて……

悠馬さんもそう思ってくれると嬉しいのだけど。

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