令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「栞は行きたいところないのか?」

「そうですね、うーん……」

「あるいは見たいものとかさ」

「見たいもの、ですか? えーっと……あっ」

「ん? 何かあったか?」

「はい。でも……」


悠馬さんから“見たいものは?”と聞かれ、私はあるものを思い浮かべたのだけど、ちょっと言いにくいなと思った。


「何だよ。言ってみろよ?」

「でも……デートで行くような所かどうか……」

「そうなのか? でも、言ってくれないと分からないだろ?」

「それもそうですよね? じゃあ言いますね。私、パンダを見てみたいかなと……」

「へ? パンダ? って事は、動物園か?」

「はい……」


悠馬さんなら、“そんなガキっぽい所には行きたくねえな”とか言うんだろうな、きっと。と私は思ったのだけど……


「分かった。じゃあ動物園な?」

「え? いいんですか?」

「いいよ。俺、動物見るの好きだし」


正直、意外だった。悠馬さんは動物好きなのかあ。“動物が好きな人に悪い人はいない”って言うから、やっぱり悠馬さんはいい人なのね。

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