令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
私は咄嗟にあの人、すなわち“通りすがりのお兄さん”の元へ走ろうとしたのだけど、悠馬さんに腕を掴まれてしまった。
「おい、どうした?」
「向こうにお礼を言いたい人がいるんです」
「お礼って?」
「後で説明しますけど、あそこの男の人に私は助けられた……って、あれ?」
“通りすがりのお兄さん”は、いなくなってしまった。さっきは確かにいたと思うのだけど……
「どの男?」
「はい。黒い革ジャンを着た体格のいい人なんですけど、もういないみたいです」
「“ターミネーター”みたいな奴か?」
「え? ああ、そうです、そうです」
悠馬さんに言われるまで気付かなかったけど、“通りすがりのお兄さん”は、サングラスは掛けてないけど、映画で有名な“ターミネーター”にそっくりな風貌だった。
「栞はさっき、通りすがりの何とかって言ったよな?」
「あ、はい。実は……」
私は一昨日の学校からの帰りに、俊樹さんに危うく拉致されるところを、たまたま通り掛かったターミネーター似の男の人に助けられた事を悠馬さんに話した。ろくにお礼を言えなかったので、それを言おうとした事も。
「おい、どうした?」
「向こうにお礼を言いたい人がいるんです」
「お礼って?」
「後で説明しますけど、あそこの男の人に私は助けられた……って、あれ?」
“通りすがりのお兄さん”は、いなくなってしまった。さっきは確かにいたと思うのだけど……
「どの男?」
「はい。黒い革ジャンを着た体格のいい人なんですけど、もういないみたいです」
「“ターミネーター”みたいな奴か?」
「え? ああ、そうです、そうです」
悠馬さんに言われるまで気付かなかったけど、“通りすがりのお兄さん”は、サングラスは掛けてないけど、映画で有名な“ターミネーター”にそっくりな風貌だった。
「栞はさっき、通りすがりの何とかって言ったよな?」
「あ、はい。実は……」
私は一昨日の学校からの帰りに、俊樹さんに危うく拉致されるところを、たまたま通り掛かったターミネーター似の男の人に助けられた事を悠馬さんに話した。ろくにお礼を言えなかったので、それを言おうとした事も。