令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
気付けば、私達はある建物の前にいた。その建物の入り口には、ゴテゴテした派手な装飾と共に、看板(?)が下がっていた。

『-ご休憩- 1時間 ○○○円~』

ここって、もしかしてホテルでは?
しかも普通のホテルではなく、いわゆる……ラブホテル?

もちろん私は中に入った事はなく、こんな近くから見るのも初めてだけど、その存在だけは知っていた。何を目的にしたホテルなのかも。


「悠馬さん、ちょっと待ってください!」

「ん? イヤじゃないんだろ?」

「ち、違います。さっきのは、その……」


私は、悠馬さんに肩を抱かれた事を“イヤか?”と聞かれたと思ったから、それは恥ずかしいけどイヤじゃないから“ううん”と答えたのであって、どうやら私の勘違いだったみたいだけど、それをうまく説明出来ずにいた。


「とにかく入ろうよ?」

「あ、ちょっと……」


どうしよう……

“イヤ!”と言って拒むべきか、ひとまず入っちゃうか……

拒んで悠馬さんを怒らせたくないけど、かと言って悠馬さんと今日、ここで……というのは、あまりにも急で心の準備が出来てないし……

でも、“イヤか?”と聞かれたら、それはそうでもないような……


パニックになっていたら、私の横を大きな黒い影が突風のように横切った。

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