令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
こ、これは、デジャヴ?


瞬時に一昨日の事が蘇り、そして今、私達の前に現れた人物は……ターミネーター似の通りすがりのお兄さん、だった。


その男の人は、唖然とする私に向かい、無言で首を横に振った。私は、“ダメですよ、お嬢さん”と言われたような気がした。

そうしてから、その人は横の悠馬さんをギロッと睨んだ。


はっ、ダメ……!

この人はすごく強い。俊樹さんは、この人に腕を握られただけで逃げて行ったぐらいだもの。もし喧嘩なんかしたら、悠馬さんが怪我しちゃう……


私は二人の間に入るようにして立ち、悠馬さんを止めようと彼を見上げたら……


「やっぱり止めとこ?」


悠馬さんはあっさりとそう言った。顔に笑みを浮かべながら。そしてクルッと回れ右をして、私の肩を抱いて歩き出すと、


「映画を観たくなったなあ」


と呟いた。

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