令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
あ、いけない。あの人に一昨日のお礼を言わなくちゃ。今日の場合は、お礼を言うべきかちょっと微妙だけれども……


そう思って後ろを振り返ったら、もうあの人はいなかった。


「どうした?」

「また消えちゃったの。あの人……」

「ああ……、気にすんな」

「あの人って何者なんだろう。偶然にしては、出来すぎのような……」

「だから、気にすんなって。それより、あいつを見てたら映画を観たくなったんだけど、どうだろう?」

「映画ですか? いいですよ?」

「よし」


という事で、その後軽くランチを食べてから、私達は映画館へ行った。悠馬さんはSF映画を観たかったのだけど、それは上映してなくて、仕方なく恋愛映画を二人で観た。

ラストはヒロインが死んじゃう悲しいストーリーの映画で、私はつい大泣きしてしまった。


そんな私の頭を悠馬さんは優しく撫でてくれたけど、その彼の目にも涙が溢れていたのを私は見逃さなかった。ここでもまた、彼の意外な一面を知った気がして、私は嬉しかった。

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