令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「寒くないか?」

「ううん、大丈夫」


今、私達は公園のベンチに並んで腰掛けている。辺りは早くも日が陰り、たちまち気温が下がっていたけど、ピッタリと寄り添う悠馬さんの温もりのおかげか、ちっとも寒いと思わなかった。


「疲れたか?」

「ううん。悠馬さんは?」

「ぜんぜんさ」

「あら。“疲れたから休んで行こう?”って言わなかった?」

「あはは。栞も言うなあ……」


少しの沈黙の後……


「なあ。二人で仕事サボっちゃうか?」


と、悠馬さんはポツリと言った。一瞬、私もそうしたいかなと思ってしまった。もっと悠馬さんとこうしていたいから。


「そんなのダメよ。店長さんに怒られちゃう」

「だよな……」

「またデートしましょう? なんなら、明日でも私は……」


うわ。私ったら大胆……!

でも、それに対する悠馬さんからのお返事は、なかった。

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