令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
でもそれは、ずっと私が待ち望んでいた言葉で、


「私もです。私も、悠馬さんが大好きです」


私が言いたかった言葉でもあった。


「ありがとうな」

「私こそ、ありがとうございます。でも……」

「言うな。何も聞かないでくれ」


私は、悠馬さんに涙の訳を聞きたかったけど、言わせてもらえなかった。



「いっけねえ……遅刻しそうだ」


悠馬さんは私から離れ、ベンチから腰を上げた。


「ほら、栞も立って。急がないと店長に怒られるぞ?」


そう言って私を見下ろす悠馬さんは、もういつもの悠馬さんだった。


悠馬さんの涙の訳は、とうとう分からず終いだった。とても気になったのだけれど……

< 449 / 548 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop