令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
俺は反射的に栞を引き止め、どうしたのかと聞いた。

栞が言うには、前に奴に助けられた事があり、その礼を言おうとしたそうだが、僅かな隙に奴は姿を消してしまった。図体はデカいくせに、動きの速い奴だ。


その時の話を詳しく聞くと、俊樹とかいう確か栞の幼馴染が、栞を無理やり車に乗せようとしたところに奴が現れ、俊樹とかいう男を追っ払ってくれたらしい。


それを聞き、俺は奴に心の中で感謝しつつ、自分が立てた仮説はやはり正しかったのだと思った。

俺の立てた仮説とは、奴はBG、つまりボディーガードだろうという事だ。さすがにSPではないと思うが、護る対象はもちろん栞だ。

おそらくは栞の父親が奴を雇ったのだろう。だとすれば、こうして栞が自由に外を歩ける事も納得出来る。


不意に、ここから少し歩いたところに、ホテル街がある事を俺は思い出した。よし、奴の正体を確かめつつ、ちょっとからかってやるとしよう。

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