令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
エピローグ 栞Side
「うー、寒い! 暦の上ではもう春らしいけど、今が一番寒くない?」
一日の講義が終わり、校舎を出たところで絵理がそう言った。
「そうだね……」
あれから約一ヶ月が過ぎたけど、私の中では時が止まっているような気がする。
「ねえ、どこか寄って行かない? 例えば温かいお汁粉なんか、どう?」
「絵理はこれからデートじゃないの? 榊原さんと……」
絵理と榊原さんの交際は今も続いている。私はそれが、内心ではとても羨ましい。
「ううん、あんなヤツ……」
「“あんなヤツ”って、榊原さんと喧嘩しているの?」
「まあね。喧嘩と言うより、あたしが無視してるんだけどね。弘司のヤツを……」
「まあ。どうしたの?」
「え? あいつったらね、合コンに行ったのよ? あたしに内緒で」
「なんだ……」
「“なんだ”って事はないでしょ? あたしという彼女がいながら合コンに行ったのよ? もう、信じられない!」
「お付き合いで仕方なく、じゃないの?」
「あいつもそう言うけどさ、嘘くさいのよね……。あーあ、あたしって、男を見る目がないのかなあ」
一日の講義が終わり、校舎を出たところで絵理がそう言った。
「そうだね……」
あれから約一ヶ月が過ぎたけど、私の中では時が止まっているような気がする。
「ねえ、どこか寄って行かない? 例えば温かいお汁粉なんか、どう?」
「絵理はこれからデートじゃないの? 榊原さんと……」
絵理と榊原さんの交際は今も続いている。私はそれが、内心ではとても羨ましい。
「ううん、あんなヤツ……」
「“あんなヤツ”って、榊原さんと喧嘩しているの?」
「まあね。喧嘩と言うより、あたしが無視してるんだけどね。弘司のヤツを……」
「まあ。どうしたの?」
「え? あいつったらね、合コンに行ったのよ? あたしに内緒で」
「なんだ……」
「“なんだ”って事はないでしょ? あたしという彼女がいながら合コンに行ったのよ? もう、信じられない!」
「お付き合いで仕方なく、じゃないの?」
「あいつもそう言うけどさ、嘘くさいのよね……。あーあ、あたしって、男を見る目がないのかなあ」