令嬢と不良 ～天然お嬢様の危険な恋～

「何が？」

「お家の方に叱られないんですか？」

「なんだ……。それは大丈夫だけど、どうして？」

「だって、お兄ちゃんは栞さんを騙して酷い事をしようとしたわけで、こうなったのも自業自得と言うか……。お兄ちゃんは、栞さんのお家の方にとっては憎い相手でしょ？」

「ううん、そうでもないのよ？」

「え？」

「パパもお祖父様も、悠馬さんの事を憎んでいないわ。むしろ同情していたの。悠馬さんは亡くなったお父様の事で私のお祖父様を恨んでいたのだけど、その気持ちはパパも、当のお祖父様もよく解っていたんですって。

だから悠馬さんの計画を知っても、悠馬さんに危害を加えず、運転手さんやボディガードを雇って私を護るようにしたんですって。パパは悠馬さんと話し合って、悠馬さんの気持ちをなだめようと思ってたんだけど、それをもっと早くすればこんな事にはならなかったと、今も後悔しているわ」

「そうなんですか……」

「後悔と言えば、私もなの」

「え？」