令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「あの時……、悠馬さんが私を助けに来てくれた時、私は素直に悠馬さんを信じなかった。もしあの時素直に悠馬さんに従っていたら、こんな事にはならなかったかもしれない。私のせいなの。ごめんなさい……」


私はあの時の事を思い出す度に、後悔ばかりしていた。素直に悠馬さんとあの倉庫を出ていたら、こんな事にはならなかったのに、と。


「栞さん、泣かないで? 栞さんのせいじゃないから……。きっとこうなる運命だったんだよ……」


運命、かあ。

悠馬さんの意識がこのまま戻らず、それが彼の運命だとしたら、そんなの悲し過ぎる。神様、どうか悠馬さんを助けてあげてください……


しばらくして由紀ちゃんは帰って行った。お母様の晩御飯を作ってあげないといけないから。


お母様と言えば、私はお母様から聞いていた。悠馬さんが、とても後悔していたという事を。そして私の事を、想ってくれていたと……


私はそれを信じたいと思う。でも、出来れば悠馬さんから直接聞きたい。あの日私を好きだと言ったのは、本心からなのか。あの時聞けなかった、悠馬さんの答えを……

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