令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「キスぐらいはしてるんでしょ?」

「それはまあ、一応は……」

「“一応”ってどういう事よ?」

「別れ際にチュッて、挨拶代わりみたいな、触れるだけのキスなの。前はもっと激しかったのに……」

「あらあらあら、それはマズイわね……」

「え? “マズイ”って、どういう事?」

「つまりね、はっきり言えば彼氏はあんたに女の魅力を感じてないって事よ?」

「…………え?」

「このままだと栞、あんた捨てられるよ?」

「す、捨てられる? そんなのイヤ……」


ついに涙がポロポロ零れだしてしまった。悠馬さんに捨てられた自分を想像したら。


「ごめんね、泣かせちゃって……」


絵理は優しく私の頭を撫でてくれた。


「でもね、泣いてる場合じゃないのよ? 何とかしなくちゃ」

「何とかって?」

「そうね……やっぱり色気で迫るしかないわね」

「そんなの無理よ。私に色気なんかないもの……」

「そうでもないんじゃない? あんた、意外に胸あるしさ、それを見せりゃいいのよ」

「み、見せるって……」

「モロに見せる事はないのよ? そうね……やっぱ湯上りね。湯上りにチラリとがいいわ。それにね、湯上りの女って、男にとってはかなりそそるらしいわよ?」

「そうなんだ……」


湯上りかあ。恥ずかしいなあ。でも、悠馬さんに捨てられたくない。


「どう、出来る?」

「うん。私、がんばる!」

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