令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「俊樹さん、こんにちは!」


ご挨拶しようとした私よりも早く絵理が元気な声で言い、俊樹さんに向かってペコンとお辞儀をした。


「こんにちは。今帰りですよね? 丁度良かった……」


そう言いながら俊樹さんは絵理から私に視線を移し、ニッコリと穏やかに微笑んだ。タイミングよく一緒に帰れるという意味だと思うけど、今日はそういうわけには行かない。


「俊樹さん、ごめんなさい。今日はこれからちょっと用事があるんです」


私は俊樹さんにそう言ってペコリと頭を下げた。


「用事? どんな?」

「はい。絵理と一緒にご……」

「女子会なんです!」


私が“合コン”と言おうとしたら、すかさず絵理がそれに被せてそう叫んだ。


「女子会? なんだ、そうか……。女子会じゃ、“僕も一緒に”と言うわけには行かないね?」

「はーい、残念なんですけど」

「ごめんなさい。連絡しなくて……」


申し訳ない気持ちで私がそう言うと、


「いいんだよ、栞ちゃん。僕も連絡なしに急に来たのが悪かったんだから」


と俊樹さんは言ってくれた。

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