令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「あまり遅くならないようにね? なんだったら帰りは迎えに行くから、連絡してみて?」


そんな言葉を残し、俊樹さんは車に戻って行った。その後姿を見つめながら、私は心の中で“嘘ついてごめんなさい”と謝っていた。


「嫌だなぁ……」


俊樹さんの車を見送ると、私はそう呟いていた。


「どうしたの?」

「嘘なんかつきたくなかったな」

「“嘘”って、私が“女子会”って言った事?」

「うん……」

「あれは仕方ないでしょ? 栞ったら、あやうく“合コン”って言いそうだったから、あたし焦っちゃったわよ……」

「だって、本当の事だもの」

「何言ってるのよ。“嘘も方便”って言うでしょ? もし正直に“合コンに行く”なんて言ったら、俊樹さんは絶対に許してくれなかったわよ?」

「そうかなぁ……」

「当たり前よ」


と絵理は言うけど、本当にそうだろうか。俊樹さんは確かにお兄さんぶるところがあるから、もし本当の事を言ったら、色々と注意をされたかもしれないけど、私が行くのを許さないという事はなかったと思う。

彼はいつも優しくて、寛容な人だから……

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