美容師男子×美麗女子
冷たい机に頬をはりつけて、目を閉じる。
あぁ、今日帰りたくないな。
素直にそう思う。
ゆっくりと心地のいい予鈴が鳴って、少ししてからチャイムが鳴った。
次は国語か。まぁいいや、睡眠授業で。
高校自体が頭良くないと、本当に楽。だって、少し勉強するだけで簡単についていけるから。
目を開けると、隣の男子と目が合った。
そいつをじっと見てから、また目を閉じる。そいつは急いで目をそらした。
なんだあいつ、あたしのこと好きなのかな。なんてね。
別に、誰が誰を好きであろうが、あたしには関係ない。
女の子がこぞって話し合う、“恋バナ”にもついていけない。
まぁ、あたしの性格だ。直すつもりもない。
頬を机にくっつけながら、とりあえず国語の教科書を取り出す。
教科書くらいは出しておかないとね。あたしだって平常点くらいほしい。
窓の外を見た。
ところどころ雲が浮かんでいる、水色の空。
ゆっくりと目を閉じた。
あぁ、もっと楽に生きられる方法ってないのかな。
若者らしからぬことを思いながら、あたしは睡眠の沼に入っていった。