美容師男子×美麗女子
「じゃあ、うち来れば」
「は・・・・・・・わっ!」
千尋があたしを引き寄せて、そのまま歩く。
右肩が千尋に包まれて、温かい。
「ねぇ、何か言わないの」
「まぁ、そのうち・・・」
千尋は欠伸をしながら、大股で歩く。
どうしてこいつは、都合よく毎回ここに居るのだろう。
公園を選んだあたしが馬鹿だった。
すぐに千尋の家に着いて、部屋に押し込まれる。
ほとんど裸の状態のあたしは、部屋が暖かくても、寒さで震えが止まらない。
「何か飲む?」
「・・・・・・・いらない」
千尋はソファに座って、あたしはそのまま床に座り込んだ。
もう立つ気力も、喋る声も出ない。脱力、って言葉が一番似合う。
「風呂入る?」
「は?」
「今、両親とも先行展示会行ってるから、昼まで帰って来ない。使えよ」
よいしょと千尋は立ち上がって、あたしの手を引いた。
つい、「痛い」の言葉が出てしまった。