美容師男子×美麗女子
□甘い
□ □ □
上質な革椅子にもたれながら、あたしは自分の爪を見た。
後ろでは千尋があたしの髪を梳かしている。
「どんなのがいい?」
「盛ってる感じで」
「盛ってる、って言われても・・・」
千尋は苦笑しながら、腕捲くりする。
「なんで、千尋が自分からやりたいって言い出したんでしょ」
「まぁ、そうだけど。千咲自身にこだわりがあるのかと思ってたから」
「お任せだって言ったじゃん」
頭を撫でられるような髪の梳かし方に、あたしは目を閉じた。
温い指が、あたしの髪を優しく触る。
そっと、大事に。
「じゃあ、俺のお任せで」
「うん」
千尋はあたしの髪を高めにまとめると、スプレーで固めて、それを巻いた。
「俺のイメージはどか盛りなんだよな」
「・・・・・・・ふうん」
細めに巻いていって、かなり均等な長さになった。
くるくるしたあたしの髪を、千尋はサイドに流す。