美容師男子×美麗女子










□ □ □



「うん、今日は格段とかわいい」


レジ近くのカウンターで、げっそりした顔をしている店長があたしを見てそう言った。

朝何時からスタンバイしているんだろう。きっと疲れているはずだ。


「ありがとう。今日、あたしの予約入ってた?」

「勿論。サトルさんとアキラくんの指名があるよ。18時からね」

「分かった」


店長があたしにひらひらと手を振る。

店長、過労死しなければいいんだけど。


あたしは休憩室に一旦入って、ファー付きのボレロをロッカーに詰め込む。

休憩室には既に3人の女の子が居た。


「おはよう、アヤカ」

「おはよう」

「何よあんた、今日は赤で決めてるの?」

「うん、クリスマスっぽいでしょ」


楽しそうにお喋りをしていたアミが、こっちを向いた。

そういうアミもいつもの倍、化粧が濃くて、髪型に気合が入っている。

他の子もいつもより気合が入っているみたいだ。


「出勤早かったから超眠くなーい?」

「当たり前じゃん。この中で眠くない人居るのー?」

「居ないよねー!」


あたしも適当に3人の中に混じって、適当なおしゃべりをはじめた。



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