美容師男子×美麗女子


斉藤さん中心にキャバ嬢が並んでいる席に、あたしは立った。


「はじめまして!アヤカです」


頭を下げて、斉藤さんの顔を見遣った。

すでに斉藤さんは飲んでいたらしく、皺だらけの汚い顔を赤く染めて、笑って歓迎してくれた。


「ああ、ああ、若い子が居ると華が出るね」

「もう、どういう意味ですかー?」


カオリさんが肘でつつく。

うん、熟年にしかできない技だ。

適当に時間を潰していれば、アキラも待ちくたびれて帰るだろう。

あたしはそれを心から望んだ。



だけど、渇望はあっさりと断られて。


「え、もう帰っちゃうんですかー?」


カオリさんの猫なで声がする。

そんな馬鹿な!あたしが来て、まだ1時間もないじゃないか!

だけど斉藤さんはしっかりと帰る準備をして、「また来るよ」と余裕な表情をこめて、腰を上げてしまった。


「娘がねぇ、待ってるから」

「そうなんですかー?残念です、また来てくださいね」


カオリさんもその周りの子たちも立ち上がって、斉藤さんの後ろにぞろぞろと着いていく。

あたしも立ち上がって、周りを見渡した。


なんてことだ。

まだ24時とちょっとなのに、ぞろぞろと客足が途絶えていく。


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