美容師男子×美麗女子


交差点に差し掛かった。

よし、丁度赤になった。


あたしは立ち止まって、信号をじっと見つめながら、色が変わるのを待つ。

大型トラックが前を横切った。

大きい音がして、太陽の光がトラックで見えなくなって、一瞬影ができる。


すぐにトラックは通り過ぎて行って、影はそれと一緒になくなった。

ふと向こう側の横断歩道を見る。

また視線を信号にむけた。あ、青になった。なんだ、残念。


ゆっくりと足を踏み出す。俯きながら、耳に流れるジャズだけに集中して、歩いた。

だからかもしれない。

あたしは正面から歩いてくる人に気付かないで、ぶつかってしまった。


「っ、」

「・・・・・・・・・、」


その人もあたしに気付いてないみたいだった。

お互いぶつかって、数歩よろける。


「あ、すいませ・・・・・・」

「いや、こちらこそ」


しまった。音楽に集中しすぎちゃったかな。

顔にはりついた髪をすくって、もう一度謝ろうと思って、顔を上げようとした。


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