美容師男子×美麗女子
「なんか、青白いんだね」
始業式も終わり、冬休みの提出物を出したところで学校は終わった。
すぐに教室から出て、あたしは下駄箱に靴を入れる。
一刻も早く学校から出たかった。
だけど声を掛けたのは、あたしの今1番会いたくない人だった。
慣れ慣れしく頬なんか撫でたりして。
「・・・・・なに」
「いつもこんな感じ?アヤカ」
「その名前で呼ばないで」
まだ誰も居ない下駄箱にもたれかかって、アキラは悠然とあたしを見下ろした。
綺麗な茶髪が揺れる。
「え、アヤカって名前じゃないの?」
「違うに決まってるでしょ。それは仕事の時の名前」
ローファーに足を入れて、あたしはアキラを睨んだ。
「あ、そう。俺は仕事のときも一緒だからさ、みんなもそうなのかと思ってた。じゃあ、これからも彰って呼んで」
「呼ばないし、呼ぶつもりも無いから。絶対に話しかけてこないで」
そう言うと、彰は大きな目をさらに大きく見開いて、あたしを見た。
「・・・・驚いた、本当に無愛想」
「本当に、って?」
「いや、結構キミ有名みたいじゃん。この学校のマドンナなの?」
「知らない」
「クラスの奴に聞いたんだよ。髪の長い、2年の綺麗な女の子ってどんな子?ってさ」
彰は楽しそうに笑った。
階段から生徒の喋り声がしはじめた。もうみんなが下りてくるんだ。