美容師男子×美麗女子
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「おはよう、千咲」
「あぁ、うん、おはよう」
とんと肩に乗せられた手は、千尋のものだった。
今日も千尋は色白で、女の子みたいに細っこい。
朝まで苦悩して寝不足だったあたしが馬鹿みたいだ。
「千尋・・・・・」
「ん」
「いや、なんでもない・・・・」
「あぁ、そう」
学校の中で唯一あたしがキャバ嬢だと知っているのは、千尋だけだ。
話してみようかとも考えたけど、やっぱりやめた。
だって、千尋は巻き込んじゃいけない。
「今日、顔色悪いじゃん。まあいつもだけど」
「昨日眠れなくて」
「なに?なんかあったの?」
「いや、別に」
心配してなさそうな視線があたしに送られる。
千尋はこういう奴だ。彼のいいところでもあり、悪い所でもあり。
重たい足取りで教室に向かった。