美容師男子×美麗女子










□ □ □



「おはよう、千咲」

「あぁ、うん、おはよう」


とんと肩に乗せられた手は、千尋のものだった。

今日も千尋は色白で、女の子みたいに細っこい。

朝まで苦悩して寝不足だったあたしが馬鹿みたいだ。


「千尋・・・・・」

「ん」

「いや、なんでもない・・・・」

「あぁ、そう」


学校の中で唯一あたしがキャバ嬢だと知っているのは、千尋だけだ。

話してみようかとも考えたけど、やっぱりやめた。

だって、千尋は巻き込んじゃいけない。


「今日、顔色悪いじゃん。まあいつもだけど」

「昨日眠れなくて」

「なに?なんかあったの?」

「いや、別に」


心配してなさそうな視線があたしに送られる。

千尋はこういう奴だ。彼のいいところでもあり、悪い所でもあり。

重たい足取りで教室に向かった。


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